映画ジャンキーのつぶやき -3ページ目

主演:ノルマンディ上陸作戦

【史上最大の作戦】

<1962年・アメリカ>
●監督/ケン・アナキン、ベルンハルト・ヴィッキ
●出演/ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ 他


ブログのスタートに何を取り上げようかと考えて、
どうせなら派手に行こうと、
少し前にDVDで見たこれに決定!
まず今から40年以上前に、これほどの規模の映画
が作られていたことに驚く。
おそらく製作費も当時、史上最大規模だったこと
は間違いないだろう。

映画は、第二次世界大戦の象徴的な戦いである、
連合軍によるフランス、ノルマンディの上陸作戦
を多面的に描いていく。見ていて気づいたのは、
この映画には主役がいないということ。
確かにジョン・ウェインやヘンリー・フォンダな
ど、多数のスターが役として登場はするのだが、
彼らの心情が描かれることはないし、
誰かの視点で物語が進むこともない。
主役は人ではなく、あくまで
「ノルマンディ上陸作戦」そのものなのだ。

同じノルマンディ上陸作戦を描いた、
スピルバーグの「プライベート・ライアン」が、
ライアン二等兵の救出というテーマのもと、
登場人物の心の動きを中心に描いたのとは全く
対照的だ。(というより、これはスピルバーグ
がこの映画とは違うアプローチを試みた結果
だとは思うが)

しかし、どうしてここまでクールな描き方を
したんだろ?元々セミ・ドキュメンタリー的
なものを目指して作られた映画らしい。
戦争の記憶がまだまだ鮮明な時代に、
映画というメディアの中で、戦闘の正確な記録
を残そうとする動きがあったのかもしれない。
それでも3時間という長丁場を退屈せずに見れ
るのは、そのクールな視点が徹底しているからだ。
戦闘シーンを「プライベート・ライアン」と比べる
と、モノクロということもあって、映像的な
リアリティでは劣ると言わざるを得ない。
しかし、上空から冷徹な目で切り取った
ようなカメラ視点が生み出す、一切の感情移入
を許さない空気は、その分、戦争の寒々しさを
映し出しているように感じる。

見終わって、ぐったりと疲れた。
そう、この映画、派手なタイトルの割には、
中身はむしろ地味と言ってもいい。
だがその地味さゆえに、
見る者の意識に静かに、深く入り込んでくる。



■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
 
タイトル: 史上最大の作戦〈特別編〉