カミカゼに吹かれる夜 | 映画ジャンキーのつぶやき

カミカゼに吹かれる夜

【THE WINDS OF GOD ~零のかなたへ~】

●作・演出・主演/今井雅之
●新宿・紀伊國屋サザンシアター


今回は映画ではなく舞台作品。
数年前にテレビでの公演録画を見て号泣して以来、
なんとか生で見たいと思っていたのが、今回4年
ぶりに再演されるのを聞き、即チケットをゲット!
念願の観劇となった次第だ。

2005年夏、東京。
売れない漫才コンビの、アニキとキンタは
交通事故に巻き込まれる。
意識が戻ると、そこは1945年8月、
大平洋戦争末期の日本海軍。
なんと彼らは、神風特攻隊員としての前世の
姿に生まれ変わっていたのだ。
自分たちに突き付けられた運命を呪いながらも、
やがて彼らは特攻隊員としての自我に目覚めて
いく。そしてついに、零戦での出撃の日を迎える…

この設定が、やはり抜群にいい!
漫才師という役柄だけに、前半はネタやアドリブも
満載で、場内は終始笑いにつつまれているのだが、
それが後半の激しく悲しい展開を一層際立たせる。
何でもギャグにしてしまう軽いコンビが、
特攻仲間の生きざま、そして死にざまに出会う
ことで変わってゆき、葛藤を乗り越えていく。
そこにあるのは、漫才師ではなく、ひとりの人間、
そしてひとりの日本人としての決意なのだ。
後半は何度も登場人物に同化し、
込み上げるものを抑えられなかった。

2時間を超える芝居なのだが、
全くダレることなく舞台に集中できるのは、
よく練られた脚本と、
役者たちの熱演のたまものだろう。
主演の今井雅之はもちろん、コンビ役の松本匠も
いい味を出している。その他の特攻隊員も、
それぞれにキャラが立っていて、
みんな愛しいのだ。

公演終了後の今井のメッセージも心に染みた。
平和ボケの時代はもう過ぎ去ったと言える、
今だからこそ見る価値がある芝居だと思う。
重くも、どこかすがすがしい充実感とともに、
劇場を後にした。

公演は今後、9月末までかけて
全国をまわるようなので、
興味をもたれた方は、ぜひ足をお運びを。
公演内容、スケジュールに関しては下記サイトで。

http://www.ceres.dti.ne.jp/~elle-co/


■個人的ハマリ度 ★★★★★(★5つが最高)
今井 雅之
THE WINDS OF GOD―零のかなたへ