インクレディブルのおとっつぁん | 映画ジャンキーのつぶやき

インクレディブルのおとっつぁん

【Mr.インクレディブル】

<2004年・アメリカ>
●監督/ブラッド・バード
●出演(声)/クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター 他


「ファインディング・ニモ」に続く、
ピクサーによるCGアニメ。

人気ナンバーワンのスーパーヒーロー、
Mr.インクレディブルは、そのあまりの破壊力が
一般市民にも害を与えてしまうことから、
政府から活動禁止を言い渡される。
それから15年、インクレディブルは保険会社で
働く日々だったが…。

ピクサ-作品はなんだかんだと言いながら、
全部見てるが、最近はちょっと
マンネリ感もなくはなかった。
でも本作は、これまでの
作品とはひと味違っていた。
まず何より「人間」が主人公だということ。
これが大きい。
まあスーパーヒーローだから、
当然普通の人間ではないのだけど、
それでも普通の人間と同じような悩みを
抱えていて、かなり共感できてしまう。
イヤミな上司に笑顔をふりまき
仕事を遂行する姿は、「Mr.インクレディブル」
というよりも、居酒屋でくだをまいてる、
「インクレディブルのおとっつぁん」と呼ぶ方が
お似合いなほど
サラリーマンの悲哀を漂わせているのだ。
これまでの、どちらかといえば子供の目線中心
だったピクサーにとっては、
この主人公像は、かなりの冒険だったに違いない。
加えて敵役が、かつてのMr.インクレディブルの
ファンの男の子だったという、妙にシニカルな
設定も、ひねりがきいていておもしろい。

CGのデキは、今さらいうまでもなく素晴らしい。
もうこれ以上やることはあるの?という
レベルまできている。
あとピクサーの映画でいつも感心するのは、
圧倒的なテンポの良さだ。
この映画も115分とアニメとしてはかなり
長い上映時間なのだが、
全くダレることなく見ていられる。
おそらく脚本や絵コンテの段階で、
相当の試行錯誤がくり返されているのだろう。

映画のテーマは、これまでと同じく
「家族愛」なのだが、キャラの設定や
クライマックスへの展開などを
アレンジすることで、これほどガラリと印象は
変わってしまうものなのだ。
やはり今後も、ピクサーからは目が離せない。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
Mr.インクレディブル